今がその時
あまり焙煎のことなど書いているところも少ないので、ロースターの呟きくらいのことを少し書いてみようと思います。
どの焙煎の本を見ても(料理の本もそうですが)肝心のところは書いてありません。
それは釜から出すタイミング。
それもそのはず、釜から出すタイミングはきっちりとココって決まっているわけではありませんから。
いつ出すのかといえば、経過した時間、釜の温度、豆のふくらみ具合、豆のはぜる音とスピード、漂ってくる香り、などなどいろいろな要素があって、それを判断してココダ!というところのちょっと手前で釜から出します。
ちょっと手前というのは、釜から出した後すぐに冷却して焙煎が進まないようにするんですが、冷しながらも豆はまだ熱いので焙煎が進んでしまうのです。
その分を考えて少し手前で出さないと、こんなはずじゃなかったのに〜ということになってしまいます(笑)
出すタイミングは、大体この辺かな〜というのは誰でもわかりますが、絶対にここだというポイントは誰にも分からないものなんです。
だって、出してしまった後にもう少し後に出したらどうなっていたかは、その時とまったく同じ条件は絶対にないから誰にも分からないですからね。
実験してみれば大体のことは分かるかもしれないけれど、それは多分って言うこと。
だからいつも釜から出す時には「おいしく出来ますよ〜に」って小さい声で(本当は言っていなくって、心で念じているだけかもしれないですけど)お願いしているんですよ。
もちろん商品としていつも80点以上の出来をクリアすることは当たり前なんだけど、出来れば最高の出来上がりを求めて一番おいしいコーヒーを焙煎したい。
どうかココが一番いいポイントでありますよ〜にっていう意味で、「おいしく出来ますよ〜に」って唱えるんです。
ここだけは自分の力の及ばないところなんです。なんだか宇宙と同じでしょ(笑)
いつもと違って焙煎出来ても、それはそれでまた違った意味でそのコーヒーの持っているおいしさがあって、これまたおいしいんですけどね。
そしてそのことから学ぶこともたくさんあるんです。
いつも同じ出来上がりになるものではありませんが、気持ちはいつも最高においしくって思いながら焙煎しているんですよ。
長くなってしまいましたが、私は毎回こんな感じで焙煎しています。
まだまだ修行中ですが、皆様これからもどうぞよろしくお願いいたします。